小説☆カレル編短編集---コンプレックス

  「ええっ?168cm?」

カレルの身長を聞いて、ユークが驚いた。

  「何かね?ユーク君。」

カレルが文句あるか、という顔でユークを見た。大抵の者ならここで察する事ができる。だが、ユークの場合、そうは行かない。

  「だって、俺が170cmですよ?」

  「ほう?」

  「俺と隊長、このくらいは差があると思いますよ?…10cmくらいかな?」

ユークは指で尺を取った。

  「はあ!?10cmは言い過ぎだろ!?」

  「でも、最低でも5cmはありますよ。ちょっと並んでみましょうよ。」

さあ立ってくださいと言うユークを、カレルは穏やかに諭した。

  「あのな、ユーク。何が何でも明白にすりゃいいってもんじゃねぇだろ?」

  「どうしてですか?」

  「第一、俺の身長を知ってどうする?何かいい事でもあんのか?」

  「あ、そういうことですか。」

遅ればせながら、やっとピンときたらしい。だが、ここからがユークの本領発揮だ。

  「背が低いことを気にしてるんですね。そうならそうと言っひぇ…」

ユークはそれ以上言葉を正確に発音することができなかった。カレルに頬を掴まれ、ウギギッと横に広げられたからだ。

  「ユーク。」

カレルが頬を掴んだまま、正面からニッコリと笑った。

  「そっとしといてくれるよな?」

  「ふぁい…」

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■あとがき
カレルは背が低いことを気にしています。そして言葉で失敗することの多いユーク。悪気はないんですが、本当のことを言って人を怒らせるタイプです。