「ええっ?168cm?」
カレルの身長を聞いて、ユークが驚いた。
「何かね?ユーク君。」
カレルが文句あるか、という顔でユークを見た。大抵の者ならここで察する事ができる。だが、ユークの場合、そうは行かない。
「だって、俺が170cmですよ?」
「ほう?」
「俺と隊長、このくらいは差があると思いますよ?…10cmくらいかな?」
ユークは指で尺を取った。
「はあ!?10cmは言い過ぎだろ!?」
「でも、最低でも5cmはありますよ。ちょっと並んでみましょうよ。」
さあ立ってくださいと言うユークを、カレルは穏やかに諭した。
「あのな、ユーク。何が何でも明白にすりゃいいってもんじゃねぇだろ?」
「どうしてですか?」
「第一、俺の身長を知ってどうする?何かいい事でもあんのか?」
「あ、そういうことですか。」
遅ればせながら、やっとピンときたらしい。だが、ここからがユークの本領発揮だ。
「背が低いことを気にしてるんですね。そうならそうと言っひぇ…」
ユークはそれ以上言葉を正確に発音することができなかった。カレルに頬を掴まれ、ウギギッと横に広げられたからだ。
「ユーク。」
カレルが頬を掴んだまま、正面からニッコリと笑った。
「そっとしといてくれるよな?」
「ふぁい…」