小説☆カレル編〜短編集---オレストは見た!(7)

ライマーさんが髪を切った。

って、なんでそんなことをわざわざ言うかっていうと、それが劇的な変化だったからだ。

それまで、後ろ髪を伸ばしてたのをすっきり切ってしまい、前髪もざっと掻きあげる感じだったのを、カチッとまとめてビシッと決めちゃったもんだから、それはそれは男っぷりが上がって、

  「ノンケも惚れちまいますぜ!この男殺しっ!」

って褒めたら、ゲンコツを頂戴してしまった…。

服装も変わった。今まで地味だった格好から、一目で高官クラスだってわかる服装に変わった。 そうして、ライマーさんは『副団長』に変身したんだ。すると途端に前副団長派達の、ライマーさんを見る目が変わった。『アルベル団長子飼い』と斜めに構えてた奴らがころっと態度を翻し、まだ就任式も済んでないのに、もうライマーさんのことを「副団長」と呼んでる。

ライマーさんが言ってた『相応しい格好』っていうのは、こういうことだったんだ。

カレルさんに選ぶ服から、ライマーさんのセンスの良さはわかってた。 ライマーさんもそういう格好したらいいってずっと思ってたんですよ。

派手じゃないけど、でもぱっと目を引く、それでいて落ち着いた感じの、なんていうか、うん、まさにライマーさんらしいって感じ。

前の格好よりずっとこっちのほうがしっくりくるし、ライマーさんだって、そっちのほうが好みでしょう?

って、あれ?…ひょっとして、ライマーさん、今まで無理して漆黒のカラーに合わせてたのかな?

で、鎌掛けてみたら、やっぱりそうだった。 ぷぷっ!「お前らの悪ノリにはついていけん!」っていう、真面目なライマーさんが、精一杯このオフザケ軍団に合わせてただなんてv

あ…違うか。『カレルさんに』合わせてたんだ。

カレルさんがいないのが残念だなー。一緒に騒いで、一緒にゲンコツの痛みを分かち合えたのに。

冗談は抜きにして、このライマーさんの変身っぷりを見たら、カレルさんどう言うだろう? また自分のことのように自慢してまわるかな?

カレルさん、時々ライマーさんをまぶしそうに見るんだ。

自分にはない『男らしさ』が羨ましいんだろうな…。

…カレルさん、元気になってくれたかなー…?

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■あとがき■
団長が副団長を指名→アーリグリフ城にて就任式があり、晴れて副団長となる…ってすんぽーです。カレルはアランの下にて再教育中v