ライマーさんが髪を切った。
って、なんでそんなことをわざわざ言うかっていうと、それが劇的な変化だったからだ。
それまで、後ろ髪を伸ばしてたのをすっきり切ってしまい、前髪もざっと掻きあげる感じだったのを、カチッとまとめてビシッと決めちゃったもんだから、それはそれは男っぷりが上がって、
「ノンケも惚れちまいますぜ!この男殺しっ!」
って褒めたら、ゲンコツを頂戴してしまった…。
服装も変わった。今まで地味だった格好から、一目で高官クラスだってわかる服装に変わった。
そうして、ライマーさんは『副団長』に変身したんだ。すると途端に前副団長派達の、ライマーさんを見る目が変わった。『アルベル団長子飼い』と斜めに構えてた奴らがころっと態度を翻し、まだ就任式も済んでないのに、もうライマーさんのことを「副団長」と呼んでる。
ライマーさんが言ってた『相応しい格好』っていうのは、こういうことだったんだ。
カレルさんに選ぶ服から、ライマーさんのセンスの良さはわかってた。
ライマーさんもそういう格好したらいいってずっと思ってたんですよ。
派手じゃないけど、でもぱっと目を引く、それでいて落ち着いた感じの、なんていうか、うん、まさにライマーさんらしいって感じ。
前の格好よりずっとこっちのほうがしっくりくるし、ライマーさんだって、そっちのほうが好みでしょう?
って、あれ?…ひょっとして、ライマーさん、今まで無理して漆黒のカラーに合わせてたのかな?
で、鎌掛けてみたら、やっぱりそうだった。
ぷぷっ!「お前らの悪ノリにはついていけん!」っていう、真面目なライマーさんが、精一杯このオフザケ軍団に合わせてただなんてv
あ…違うか。『カレルさんに』合わせてたんだ。
カレルさんがいないのが残念だなー。一緒に騒いで、一緒にゲンコツの痛みを分かち合えたのに。
冗談は抜きにして、このライマーさんの変身っぷりを見たら、カレルさんどう言うだろう?
また自分のことのように自慢してまわるかな?
カレルさん、時々ライマーさんをまぶしそうに見るんだ。
自分にはない『男らしさ』が羨ましいんだろうな…。
…カレルさん、元気になってくれたかなー…?