次の日は、二人とも休日だったので少し寝坊をし、二人でのんびり食後のお茶を飲んでいると、アルベルが唐突に言ってきた。
「お前の望みを言え。」
「望み?」
「昨日の詫びだ。…ただし、俺が出来る範囲の事だ。」
アランはもう昨日の事は気にしていなかったが、このチャンスに飛びついた。
「では、あなたの美しさをじっくり堪能したい。」
「…なんだそれは?」
「服を脱いでベッドに横になってください。」
ある程度の事は覚悟していたが、アランが一体何をするつもりなのか予測できず、とまどった。
「な、なんだと?」
「出来ませんか?」
アランがちょっと悲しそうな目をして小首を傾げた。
「…出来る。」
アランの懇願するような目に負け、しぶしぶと服を脱ぎ始めた。アランにじっくりと見られながら服を脱ぎ、髪もほどかれて、言われた通りにベッドに横たわった。
明るい光にアルベルの白い裸体がさらされる。
アランはその美しさに目がくらんだ。
「それで?」
アルベルは恥ずかしさを押し隠し、わざと何でも無いというような振りをした。
アランにはもう何度も体をさらしてきたのだが、こんな明るい状況で裸を見られるのは初めてだった。服をきたままのアランの前で素っ裸になっている自分。自分だけが非日常的な空間に放り出されてしまったようだ。
アランがすっと手を伸ばして、アルベルの髪に触れてきた。
「美しい髪だ…。」
アルベルの髪を指ですくうと、そっと口付けた。
「どうして途中で金色になっていくんでしょうね。」
「ガキのころは殆ど金色だった。それが大人になるにつれて根元が黒くなるようになった。」
「へえ。不思議ですねぇ。」
アランは髪を丁寧にベッドに広げていった。そして全体を見渡し、その芸術的な美しさに溜息をついた。
「本当に綺麗だ!」
面と向かってこんなに賞賛されると、くすぐったく感じる。
「女じゃあるまいし、綺麗とか言われて喜ぶわけねえだろ。」
「そうですか?あなたは女などよりずっと綺麗ですよ。」
アランはアルベルの頬に触れ、その目を覗き込んだ。
♂
「そのまま、私の目を見ていてください。逸らしてはダメですよ。」
そして、アルベルの体に舐めるように視線をはわせ始めた。
アランの目の動きで、アランが自分の体の何処を見ているかがわかる。アルベルは恥ずかしくてたまらない思いで、アランの目を見つづけた。
「膝を立ててください。」
大人しく言われた通りにする。足を動かすと、シュウッと衣擦れの音がした。
アランがアルベルの足元に移動してきた。
「もっと。…そう、そして足を開いて。もっとです。あなたの全てが見えるように。そうです。あぁ…!!」
アランは感嘆の溜息をつき、アルベルが広げた脚の間から、薔薇色のアルベルをうっとりと見つめた。
アルベルがそのあまりの恥ずかしさから顔を背けると、
「ちゃんと私の目を見ていてください。」
と注意された。
自分の局部に熱い視線がねっとりと絡まる。ぞくぞくとした感覚がはしり、触れられてもいないのにアルベル自身がむくりと頭をもたげた。
「!!」
必死に抑えようと焦れば焦るほど、ますます立ちあがっていく。その様子も全てアランに見られた。アルベルはもう真っ赤になり、言葉もでなかった。ふっとアランの視線が自分の目に戻ってきた。
「恥ずかしいですか?」
とニッコリと訊かれ、アルベルは怒った。
「ッ!当たり前だッ!!」
「どうしてです?こんなに綺麗なのに。」
とアランはアルベルの体に手を伸ばした。
「肌などこんなに白くて滑らかで。」
するりと肌を撫でる。その途端、アルベルはすっと息を吸い込んだ。
「ここはピンク色で、そしてつい、いじめてみたくなる程敏感で。」
と乳首を指先でくるくるとくすぐった。アルベルがピクンと反応し、広げられた髪がさらりと流れた。
「いつも無防備に晒されている、この腰、太ももにどれだけの視線が集まっているか、あなたはご存知ですか?」
アランは、アルベルの反応を楽しみながら、足先まで一通り触れると、アルベルの顔が良く見える位置に移動し、顔を見つめたまま、アルベルの中心に触れた。
「っ!!」
ゆっくりと指を絡ませる。
「この薔薇色に誘われては、もう理性を留めておくことはできません。そして、ここは本当に素直で…いつも夢中になってしまう。」
アランが指をゆるゆると動かし、それによって、アルベルはじわじわと絶頂へと追い詰められ始めた。
アルベルの白い頬が紅く染まり、その美しさを引き立たせている。ちらりと唇を舐める舌の艶かしさ。そして、言われた通りに自分をみつめてくる、潤んだ紅い瞳。
アランが徐々にアルベルを責め始めると、アルベルはもうアランの目を見ていることが出来なくなり、固く目を閉じてしまった。
アルベルが堪らないといったように首を振る度に髪が波打つ。濡れた唇から、艶を帯びた喘ぎがこぼれてくる。
長い時間、その様子を愛でるために、いかせないようにゆっくり愛撫していたのだが、アルベルはとうとう堪えきれず、アランの手の中で弾けさせた。
のけぞる咽もとの白さ、そのラインの美しさ。アルベルはシーツを掴んで歯を食いしばった。ガクガクと痙攣し、やがて力が抜けていく。そのぐったりとした表情。額に光る汗。熟したように紅くなった頬。荒い息を吐いている濡れた唇に、細い髪が数本張り付いている。アルベルの腹から胸にかけて飛び散った白い精がとろりと肌を滑ってシーツに伝い落ちる。
その淫靡さすら美しい。
アルベルがうっすらと開けた。その涙でうるんだ瞳。
その全てをアランは目に焼き付けていった。
アルベルは一部始終をずっと見られていたことに気付き、顔から火が出そうになった。
そして、ガパッと起き上がって怒鳴りつけた。
「こッ、こんな屈辱は初めてだッ!!!」
「そうですか?本当は御自分でなさっているところを見たかったのですが、でもそれはさすがに酷だろうと思ってやめたのに。」
「こんのッ変態野郎がッ!!!」
アルベルは恥ずかしさをアランにぶつけ、アランの固くなってしまっている股間をグッと掴んだ。
「痛ッ!」
「フン、こいつをどうしてくれようか?」
と、アルベルはそれを強く握り締めたまま、アランを見下ろした。
「ふふ、どうぞお好きなように。」
その余裕綽々な態度にカチンと来た。アランを押し倒し、胸をはだけさせ、ズボンと下着を脱がせると、アルベルの目の前に張詰めたものが晒された。
アルベルはアランを睨んで、ニヤリとすると、舌を出してそれをペロリと舐めた。
上目使いでのその攻撃に、アランは危うく瞬殺されるところだった。下腹に力を込め、その波をやり過ごす。
「フッ。そう簡単にいかせてたまるか。」
アランの反応に気を良くしたアルベルは、アランの根元を指できゅっと締め付けると、猫のようにぺろぺろと先端の膨らみを舐めていった。
そうされながらも、アランはアルベルが自分を舐めている様をじっくりと見つめ脳裏に焼き付けていく。自分の劣情にひらひらとアルベルの紅い舌が絡みつく様はまさに絶景だった。
そんなこととは知らず、アルベルは舌での愛撫を続け、空いている手で、茎の部分をこする。アルベルの熱い舌と指の感触。その壮絶な色香を発する上目遣いに、為す術もなく悩殺され、何度も爆発しそうになったが、根元を締め付けられては、それも許されない。
「ああ、もうっ、許してください!!」
「いいや、まだだ。」
と先端の膨らみ部分を口に含み、舌を絡み付けながら吸い上げ始めた。
「あぁッ!!」
もう限界だった。
アランは体を起こして、アルベルの体に手を滑らせた。
すると、アルベルがびくんと反応し、その拍子に締め付けが緩んだ。その途端、溜めに溜まった精がドッとあふれ、アルベルの顔中に飛び散った。
アランはそれを拭ってやる余裕も無く、解放の快感に打ち震え、やがて脱力しきってベッドに倒れこんだ。
「ああっ、くそっ!!」
アルベルはグイッと手で顔を拭うと、
「やり直しだ!!」
ともう一度、アランのモノを手に持ったが、我慢に我慢を重ねた挙句の開放だったので、なかなか復活しない。そこでアルベルはうなだれたそれを口に含むと、赤ん坊が母親の乳房を吸うように、ちゅくちゅくと吸い始めた。
アランはそうされながら、しばらく、ぐったりとしていたが、その刺激で徐々に目覚めてきた。アランは身を起こすとアルベルの腰を掴んで自分の方へ引き寄せ、体の向きを変えた。
そして目の前に来たアルベルの根元の下にある膨らみをパクリとくわえた。
「なっ!!」
驚いて口を離して見やると、アランが自分に食いついている。自分も負けじとアランにくらいつく。
だが、技術の差は歴然としていた。アランはしばらく、膨らみを舌で優しくなでて、その感触を楽しんでいたが、やがて本格的に攻め出した。アランの舌の蠢きにあっという間にアルベルは追い詰められた。
結局アルベルは為すすべなく、アランから口を離してしまい、それに額を押し当てる格好で果ててしまった。
「ご馳走様でした。」
アランがそう言って笑うと、アルベルは悔しがって枕を投げつけた。
疾風団長と漆黒団長が、まさかこのように淫らな休日を過していようとは、部下達は知る由もない。
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